読みました!
前から読みたいとは思っていましたが、この10年今の会社で滅茶苦茶に働かされ、余裕もなく忘れておりました。
辞めようと思ったとたん、図書館でふと目にとまったのがこの本でした。身近にある事にも気付かない、気持ちにゆとりがなかったんですね。窮すれば鈍す、鈍すれば貧す。負の螺旋に突き落とされた10年でした。
さて読んでみて衝撃。まあ作者がうまいと言うか、物語の構成が推理小説のようで凄く読ませる!この業界に興味がない方でも、十分面白く読めます!
作者自身がグループ内の美術館や本屋で勤務経験があり、その周辺をインタビュー形式で埋めていく、ドキュメンタリータッチの展開なので油断してしまうのですが、これが作者の意図したワナなんですね。
最後に登場する堤清二=辻井喬のインタビューで、物語はカタルシスを迎えます。ここまで語られてきた現代美術とセゾン文化との関係性を、ニューアカ・ユーロコミュニズムを軸に解体してしまいます。そしてすべての活動が、企業の民衆啓蒙などではなく、自己表現を求めて集まった個人の、いわばケミストリーだったと振り返るのです。
バブルの最後の世代として、西武が発信する情報には当然影響を受けました。私だけではなく、すべての企業・個人が影響を受けたと思います。企業が文化活動を意識し出したのも、西武セゾンの影響でした。
何でもマーケティングじゃない、コンセプトは大事だろ!と語る辻井喬。無印良品が「自立した消費者」を意識した、コミュニズム的コンセプトを基に作られたものだった事など、衝撃に次ぐ衝撃です。
小売業の文化発信は、いまではコト消費への提案などという消費誘導のコンセプトにまとめられてしまったが、この時代の動きは一味違う・・・・
ご興味ある方は是非ご覧ください。
現代の経営学に飽食気味の皆さまも是非。20世紀からの一撃、ズシリと重いです。
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